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パナマ文章と『悪魔は涙を流さない』

 ジョージ・ソロスという人物をモデルにしてヨタ小説を仕立てたのが、拙著『悪魔は涙を流さない』。南ドイツ新聞へのパナマ文章の流出元として、ようやく彼の名前が出てきたが、タックスヘイブンの問題は、ソロスの自由主義思想と相いれないところがあり、パナマ文章は、かつての資本主義対社会主義とは別の、新時代の国際経済戦争が勃発したことを意味している。

 パナマ文章の爆弾の根幹は、政治家や富裕層タックスヘイブンへの租税回避ではない。タックスヘイブンは、マネーロンダリングの装置にすぎない。総計で法外な金額になるファンドが、いかにして運用可能か、自分で考えてみたらいい。通常なら、金額が巨大になりすぎると、利益率は平準化せざるをえない。極端なことを言えば、世界に一人しかいなければ、どうやって運用しても、プラマイゼロだ。しかし、実際には、タックスヘイブン経由で、相応の投資利益が出ている。

 パナマ文章が、この先の部分までのリークを含んでいるのかどうか。タックスヘイブンそのものは、別に世界中に点在している。にもかかわらず、カリブ海パナマに取引が集中している理由はなにか。証拠まで抑えられるわけではないが、想像に難くない。彼らの資金運用の反社会性こそ、一番の問題なのだが、そこまでだれも手を出せない。