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ジェンダーフリーの代名詞

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 英語だけでなく、ドイツ語、フランス語、イタリア語などには、もともと名詞に「性」がある。フランス語やイタリア語では、性が男女しかなく、女性であることに差別感が無いからか、あまり気にしていないようだ。一方、男尊女卑の文化的背景があるドイツでは、女性名詞や女性代名詞の使用が嫌われ、中性化や複数化でしのいでいる。そして、もっとも文法的に性がどうでもよい英語がいちばん揉めている。いったいどうしていいのやら。

 もともと英語では、no one のような性別不明のものを、heでまとめて受けることになっていた。つまり、heは、フランス語のilなどと同様、もともとドイツ語の男性に相当する用法だけでなく、中性に相当する用法も含んでいた、と考えた方がいい。ところが、これが気に入らない、ということで、he/she のような奇妙な表記が出て来た。この問題を避けるため、そもそそも代名詞をできるだけ使わずに名詞にする、という手もある。ここでは、どういうわけか、actor/actress のようなer/ressは、erが、男性ではなく、中性として認められた。とはいえ、英語で同じ名詞の頻繁な反復は好まれない。そこで出て来たのが、"single they"。文法的にはあくまで複数形扱いなのだが、それまで単数形だったものを平気で受ける。つまり、前の文では、たとえばa reporter says だったのが、次の文では、they also say になっていたりする。このtheyは前のreporterを受けていないと、alsoが機能しない。

 このように、種々のわけあって現実がこういう文法破りだらけなのだから、日本で本だけで英語を勉強していたら、ネイティヴの文に赤を入れてしまいそう。しかし、言葉は柔軟だ。時代に合わせて変わっていく。