生発酵の大吟醸

 わざわざ山間の蔵元へ。新酒のしぼりの生の量り売りを買うためだ。けっこうな値段だが、フェダーワインと同様、この年末の時期だけの楽しみ。きんきんに冷やして、ちびちびと猪口で味わう。

 昨今、味を調える、辛口ばやりとか言って、醸造用アルコールを加え、広域販売のために、加熱処理が当然になってしまっている。が、本来、酒は生もの。時期季節で味が変っていく方が当然。しぼって酵母を落とし、麹で糖化する絶妙のバランスが大切。おおよそ2週目あたりが最善。もっとも華やかな味わいになる。

 とはいえ、辛口ならいい、などというバカ舌は、焼酎かウォッカでも飲んでいればいい。そんなの、酒じゃない。まして日本の酒は、まず米。酵母と麹の蔵独自の菌腫、そして温度管理が、文字通り、醸し出す風味を味わうもの。なにより、心しずかに一年を振り返り、次年を思いやり、そばや刺身でなめる時間が必要だ。居酒屋でいろいろな酒とつまみのニオイがぐちゃぐちゃに混じり、喧噪が飛び交っているようなところでは、話にならない。