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カクテルは家で

 はっきり言って酒は弱い。だが、以前、六本木で「夜の仕事」(といっても報道だが)をやっていたので、地下鉄に乗る前、帰りに静かにひとりでバーで一杯だけ、なんて、よくやっていた。おりしもバブルの最盛期でそこら中にカフェバーが乱立。そういうのに背を向け、藤城清治の看板の平日の「もぐら」なんぞが好み。(廃業してしまったそうで残念だ。)

 そのころにも、ビーフィーターだの、ベネディクティン、アンゴスチェラ等々を買い揃え、家でこちょこちょ作ってみていたが、プロの味にはとうていかなわなかった。東京を離れ、カクテルも縁遠くなってしまっていたが、最近、また、いろいろなめてみたいと思うお年頃。ところが、こんな県境では、なかなかバーの話も聞かない。まさか車で行って、というわけにもいかず、酒屋などを見るが、わけのわからない焼酎ジュースの「カクテル」の缶が並んでいて、こんなの、詐欺だろ、と思う。

 思うに、カクテルの良さは、アルコールじゃない。だから、酒だけシェイクしても、絶対にカクテルにはならない。ビターな薬草系や柑橘系の風味の加減が、シェイクによって、揮発性のスピリッツとともに香気を奏でる。そういう1ダッシュの有無が味を決める。店も無いんで、自分でやるか、とも思うが、いろいろ揃えると、けっこう大ごと。いずれビンを並べたホームバーのカウンターが1坪でも作れる身の上になりたいと願うのがせいぜい。