大阪のおいしい水

 大阪へ越して来て驚いたのは、水がうまいこと。まあ、ここが大阪か、というのが、まずあるのだが。大阪といっても、じつは給水系統はかなり複雑で、その系統によって、とんでもなく水質が違う。私の住んでいるあたりは、その給水系統の関係で、たまたまとても当たりの場所だった、という話。

 なにしろ「南アルプス天然水」と並ぶくらいの硬度31、蒸発残留物56ミリの軟水。熊本の連中が、うちの水道はうまい、昔、全国で三位に選ばれたことがある、と、しつこく自慢していたが、あれは、はっきり言って、絶対にまずい。うまいわけがない。硬度81、残留物183! あんなの、そもそも飲料水道水の限界ぎりぎりまで振り切っているじゃないか。実際、キッチンだの、風呂場だのに、すぐに結晶の輪染みができる。ポットは、なんど洗浄していても1年でへたる。どんないい茶を入れても、旨味を殺す。ああいうひどい水を飲んできた者からすれば、ここの水は、そりゃうまい。茶の味も引き立つ。そのうえ、給水系統上、浄水場からもっとも遠いから、0.1ミリぎりぎりのところまで塩素も抜けている。(この給水系はやたら長いので、浄水場近辺では逆に塩素が異様に強い。)

 住む場所で水道の水質など気にしない人がほとんどだろうが、それこそ毎日の食事のおいしさ、洗濯の仕上がり、掃除の手間、と、実際の差はかなり大きい。前が前だっただけに、その違いがよくわかる。