シミュラクロン3

ダニエル・F・ガロイは、2000年になるまで日本では翻訳が出なかった。だから、『マトリックス』で大騒ぎし、日本のアニメが原作だ、などというバカが湧いて出た。まあ、原書なら昔から簡単に入手できたし、さして難しい英語でもないから、好きなやつは、自分だけの楽しみにする。こんな話、ひとに説明するのは面倒くさい。

ヴァーチャルリアリティの問題は、夢物語として近代の幻想文学の一大テーマ。中でも、ガロイのマーケティングのためのワールドシミュレーターというアイディアは、群を抜いている。1964年の作品だ。これが日本で翻訳されるきっかけになったのが、そのアダプテーションとして『13F』が1999年に映画化されたから。監督は、『インディペンデンス・デイ』(96)、『ゴジラ』(98)、その後も、『デイアフタートゥモロー』(04)や『2012』(09)などのパニック大作の巨匠エメリッヒ。

しかし、エメリッヒにしては、『13F』は地味。だが、じつは、エメリッヒはドイツ出身で、ガロイの『シュミラクロン3』は、ドイツでは『描かれた世界』(73)として、2回のテレビミニシリーズとして放送され、大好評だった。もっとも、『13F』は、3つの世界にタイムマシン的な時間差をつけており、これはエメリッヒのオリジナルだ。服装や背景の差が無いと、映像ではわけがわかるまい。