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終わらない夏

 台風が過ぎたら涼しくなるのか、と思っていたのに、なんだ、この暑さは。それも蒸し暑い。かといって、いまさら海に行く気分でもない。あのひどい台風の後だ。和歌山の方になんぞ行って、海っぺりで、なにかわけのわからない漂着物を拾ったりしたくない。以前、千葉の合宿で、朝っぱら早くから、オケのみんなと貝殻拾いをしていたら、きれいな、大きなピンクの砂の中にあって、それを引っくり起こしたら、なんと歯が並んでいた。入歯だ。あれほど恐ろしかったことはない。みんな腰が抜け、震え上がった。まあ、船から入歯を落とすということも、ないではないだろうが、そうでない可能性もある。

 日本は、都を定めたら、そこに貴族もいないといけなかったし、まして江戸時代、幕府の許可無しにかってに動こうものなら、叛意ありとして、大名から庶民まで処分の対象となったが、ヨーロッパは、むしろ貴族があちこちに宮殿を持っていて、それを季節ごとに移る方が当たり前だったし、庶民の遍歴修行も多かった。そのせいか、家も、借りるのが当然。それも家具付だ。

 国土の均衡ある発展、などというなら、せっかく日本は南北に細長いんだから、夏の間、北海道にでも、みんなで移ればいいのに。工場以外は、いまどきどこにいたって仕事はできる。逆に、冬場に無理に北海道なんかいなくてもいいのに。みんなで移れば、だれも困るまい。