ヴェジタリアン(ヴィーガン)とハチミツ

 奈良にイスラエル料理の店があるが、需要は大きいだろう。外国人観光客だ。宗教的な理由で、肉はもちろん、その脂もダメ、という連中は意外に多い。ヴェジタリアンというと、日本では菜食主義と訳されているが、その語源は野菜(ヴェジタブル)ではなく、ラテン語のウェゲトゥスで、生命尊重主義、つまり、殺生したものを避ける、というもの。だから、乳製品はかまわん、ということになる。卵ですら、生まれる前だから殺してはいない、として、連中は平気で食う。

 一方、ややこしくなるのがハチミツ。どう考えたって花の蜜なんだからいいじゃないか、と思うかも知れないが、生命尊重主義からすれば、蜂を殺して採ったんだから、いかんのだそうだ。もっとも、それは数百年も前の方法で、誤解もはなはだしいが、宗教上の規則というのは容易に修正がきかない。同様に、ヴェジタリアンは、カイコの作った繭玉を茹でて絹糸を取るシルクも身につけない。当然、皮製品もダメ。毛皮も論外。

 ところが、肥満やアレルギーなどの健康上の理由で新しいヴェジタリアンが出てくると、旧いヴェジタリアンを「ヴィーガン(ヴェジタリアンの軽蔑的短縮語)」として排除し、乳製品や卵も禁止する一方、シルクや毛皮は可にしてしまった。もっともハチミツは、ハイカロリーだから、やっぱりダメらしい。この新しい連中は、ビタミンB12の問題が生じ、サプリばっか食っていなければならない。