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天河伝説支離滅裂事件の顛末

 奈良の秘境に天河神社がある。とんでもないところだ。いや、とんでもないところになってしまった。村は人口激減で、文字通り中沢新一好みの日本のチベット

 もとは天(てん)川ではなく、雨(あま)川だろう。ふだんは干上がっているが、紀州の台風ですぐに氾濫する。そのせいで、ここ、坪の内(壺の内)は、川の極端な穿入蛇行で、谷の中腹に島が残された。その上に神社がある。氾濫鎮めの祈祷所としては古い歴史があるのだろうが、しょせん地元の郷社にすぎない。ところが、戦後のオカルトブームで、「天河」だ、UFOだ、パワースポットだ、とかいうバカがわんさか湧き出てきて、バブル期には『天河伝説殺人事件』(1991)なんて映画にまでなって、ニューエイジかぶれの文化人や芸能人のメッカになった。それで十億もかけて御神殿まで建て直し、92年に破産、山まで競売。買い手も付かず、有名人も愛想をつかし、村は寂れる一方。

 ところが、この神社、いまだに30万円の五十鈴を売ってみたり、宮司が未来経済大預言をしてみたり、温泉掘って800万円以上もの収賄で村長が逮捕されたり、しっちゃかめっちゃかのまま。この一発屋の末路っぽいうさんくささは、芸能の神社として、ふさわしいっちゃ、ふさわしいかも。今週末は、天河七夕祭りだとか。御利益があると思えるなら、ぜひお参りを。山合いの神社のままなら風情があったのに、もったいない。