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同好会の新入生勧誘

 ガイダンスで出校。とはいえ、ここは芸大。入るなり、どどすこすこすこ、と響き渡り、ソーラン節を長めながら、モモレンジャーたちが踊り、召還師みたいなのが、あちこちで棒を振っている。弓道、武術、なんでもあり。新入生の同好会勧誘だ。それにしても、みんなさすが芸達者で驚く。

 日差しは暖かい。東日本の被害は、ここにはない。だが、忘れたわけではない。ここは関西なのだ。みんな、阪神大震災の悪夢を思い出した。先生方の中にも、すでに現地へ行ってきた、という人も少なくなかった。だが、報道で伝えられているより、現実ははるかに悪い、と言う。テレビは、さしさわりのないものしか撮さない、と言う。いまは勇敢な人々の舞台。彼らが降りて、張り詰めていた気持ちが、くだけくじけそうになったときにこそ、自分たちの出番がやってくる、と、いまから準備を整えている先生方も多い。

 学生たちは、もっと先のことを考えている。バブル以来のどんちゃん騒ぎ大量消費のエンターテイメントなど、もとに戻るわけがない。彼らこそが、我々のような古い世代には思いもよらないような、新しい時代の、新しい文化を切り拓くだろう。彼らは、そのための仲間をいま集めている。直接に現地に行って役に立つことはすばらしいが、復興への貢献の仕方は、ひとつではない。