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疲れはてた人々のための美

 歌でエールを送るとかいって、やたら被災者を励ましている連中がいるが、いったいこれ以上なにをどうがんばれと言うのか。もうアゲアゲのノリノリはいいよ。その電話、必要ですか、なんてテレビの公共広告で言っているが、それなら、まず、この番組、このテレビ局、必要ですか、と自問自答してみろ。

 阪神のときもそうだったが、じつはテレビは被災地ではまったく役に立たない。携帯ワンセグでさえ、充電する電気がないんだから。だから、みんなラジオに頼った。今回も、ラジオはすごかった。ずっと被災地の人々の耳元で語り続けた。はしゃぎすぎのテレビと違って、落ち着いた声で、いま、を伝え続けた。良い知らせも、悪い知らせも。。。

 今回は、傷ついた被災者だけでなく、便利な技術を過信し、電力を東北に依存し、贅沢三昧を続けてきたその他の人々も、その無意識の底では、自分たちの罪の深さにおののいている。海外の報道写真家の作品は、悲惨さの中の生の人間の姿を写し撮っている。つらい鏡の姿と向き合うことによってのみ、我々は、今あるべき自分を取り戻す。歌や小説、映画も、これからこそ、その本来の仕事をすべき時だ。癒やしというのは、みずからも心の血の涙を流し、相手に寄り添って、その味方になることだ。