今年もまた科研費申請の季節

 カネがないことには、どうにも身動きがとれない。べつに大金はいらないのだが、ちょこまかと本や資料で、例年、数十万になってしまう。図書館で借りればいい、と思うかも知れないが、本というのは、行間に書き込みをしていってこそ、自分の知になる。借りた本では、知も借りものにしかならない。

 もちろん、読書ノートでもつけて、引用をすべて書き写す、なんてやればいいのだろうが、とにかく近年は情報の量が多すぎる。片っ端から読み潰していかないと、昨今の様子がわからなくなってしまう。まるで新幹線の車窓で、外の看板を読んでいるような気分だ。

 できることなら、もっとゆっくり、じっくりと、ひとつの本を読んで、あれこれ考えたい。しかし、そんなことをしていると、今年は研究業績も無しか、などと、揶揄される。それにしても、世の中には、薄っぺらな業績をコピーマシンのように叩き出し続ける研究者もいて、えらいことだなぁ、と、ひたすら感心してしまう。てな愚痴を言っている暇があったら、さっさと研究計画を書かなければならないのだが、そんな計画どおりにいくような研究なら、プロはやらねぇよ、とか、本音が心の奥底から出てきて、なかなか進まん。