日本振銀と小説家

 それにしても、人物も、銀行も、いんちきくさい。小泉、竹中、木村。時代が終わってみれば、なんというやつらだったことか。もともと小金持ちのJCの連中をだまくらかして出資させ、頼母子講まがいの変てこりんな銀行を作った。だいたい「日本振興」なんて、勧銀や興銀まがいの名前をつける時点で、詐欺師の臭いがぷんぷんしていた。で、案の定、トップが自分で親族企業にカネを引っ張って、あの始末だ。

 その後始末に引っ張り出されたのが、江上剛(小畠晴喜)。同じ「剛」続きだからというわけでもなかろうが、なんでこんな仕事を引き受けたのだろう。ハッタリだけの木村なんかと違って、勧銀の一件では広報のプロとして活躍した人物であり、人間的な表も裏も見抜ける小説家でもある。コンプライアンスの問題だけならなんとかなるかもしれないが、銀行で肝心の金融の芯が腐ってしまっているとき、一気に資金は流出する。こうなると、もはや振銀が倒れるのは時間の問題であることくらい、わかっているはずだ。

 もっとも、小説の方は、現場を離れて十年を待たずして、ネタが尽きてきていた感があった。本も爆発的に売れている、というわけでもない。それで仕事をしなければ、と思ったのかもしれないが、彼ほどの人物なら、もっと仕事を選んでもよかったと思う。