ジプシーの国外追放

 フランス政府は、19日から国内のロマ族をルーマニアなどに飛行機で追い出し始めた。予定では700人に及ぶ。ことの発端は、7月18日に、ロワール地方のサン・テニャン市で、警官の制止を無視した青年が射殺され、その兄弟たちが抗議として車5台に放火した事件。この兄弟たちが、ロマ族だというのだが、失業が慢性化しているフランスでは、非定住者はロマ族に限らず、いくらでもいる。また、たとえ非定住中のロマ族でも、フランス国籍を正規に持つ者も少なくない。

 フランスでは、暴動は、もはや日常化するほど、治安が悪化してきている。同じフランス国籍の中で、中枢を占めるユダヤ系に対し、イスラムアルジェリア系の生活環境は悪く、同じ日にも別の街で、文字通りの暴動が起きている。右派サルコジ政権は、この国内問題の目先をそらすために、ロマ族に目を付けた。ナチスが国内の解決困難な不満をユダヤ人に向けたのと同じやり方。

 興味深いのは、ルーマニアの対応。自国籍のロマ族が犯罪的と言うなら、フランスにルーマニアの警官隊を送り込んで取り締まる、と申し出た。もともとルーマニアにしても、ロマ族が通過しただけの国で、送り返されても、彼らがまたフランスに舞い戻るのは確実視されているからだ。