不景気の星空

 不景気にはいいこともある。最近、星空がきれいなのだ。夏の夜空とは思えないほど、澄んでいる。いや、大気の様子が変ったわけではあるまい。これまで、地上からの環境光が天空の水蒸気を光らせて、星をかすませてしまっていただけだ。

 これまでがおかしかったのだ。二四時間営業とか言って、だだっぴろい駐車場中をサーチライトのような高輝度の明かりで照らし続ける。それどころか、まさにサーチライトで、パチンコ屋やラブホテルが空に向け、わけのわからない強力な照明をぶちあげて、ぐるぐる回していた。爆撃機が来襲するわけでもあるまいに、なにをかんがえていたのやら。そうでなくても、やたら観光開発とか言って、下から上へあちこちの建物がライトアップをしまくっていた。それで、照明アーティストとか自称する連中が、文化財保護の予算から暴利をむさぼって、あちこちを渡り歩いていた。

 元来、夜は暗いものだ。その暗さの中にこそ、息をひそめて、静かに語り合う時間がある。バカ騒ぎなら、昼間にすればよい。そして、バカ騒ぎばかりやっていると、言葉も聞こえず、思いも伝わらなくなる。そして、こうして世の中は、ばらばらになり、不景気になった。家族や友人で集まり、小さな花火でも楽しみ、星空を眺めて、夜長を楽しむことができるようになった。