奥秩父ブドウ沢の三重事件

 それにしても痛ましい。遭難した人を救助に行ったヘリが墜落し、その取材に行った記者も死んだ。死者にムチ打つマネははばかられるが、今回の事件、最初からおかしい。この場所は、2006年7月17日に、学芸大のパーティが滑落事故で死者を出している。今回の滑落者は、東京都勤労者山岳連盟の指導の下にあったというが、この4年前の事故を知らなかったとすれば、指導者の資格はない。梅雨時の増水期に初心者の訓練をすること自体、学芸大のときからして、常識はずれだろう。

 救助ヘリも哀れだ。大雨、洪水、雷の注意報が出ている中で現場に向かった。しかし、天候が原因ではないようだ。点検も直前に済ましていたらしい。まして、テレビの記者に至っては、水につかるのにもかかわらず、ジャージを着ていたとか。日航ジャンボ機のとき、背広に革靴のまま現場に入って取材した、という話がそうさせたのかもしれないが、あのときだって、それは無謀以外のなにものでもなかった。

 はらだたしいのは、訳知り顔のマスコミ論の学者。また、視聴率競争のせいだ、という。報道の連中は、視聴率などもとより気にしていない。あいつには、報道記者の使命感というものが、まったくわかっていない。