患者・学生はお客様か?

 以前がひどすぎたのだ。いや、いまも口先ばかりで、本音が見え隠れする。病院で数時間待ちは当たり前のまま。あちこちの学校の学生たちの話を漏れ聞くに、親身になってくれる教職員もいれば、おいこら、そこのガキ、というような、高圧的な教授や窓口担当もいるとか。実体は、あまり変わってはいないようだ。むしろ建前だけの慇懃無礼ほど人をバカしているものはない。

 とはいえ、お客様、と言われて、おれさまはお客様だ、と思う患者や学生もどうかしている。病院や学校は、サービス業だ。だが、飲食店や娯楽映画のように、サービスそのもので客を喜ばせるわけではない。それどころか、ときには苦痛や苦行を強いざるをえない。それを乗り越えた先で、本当の意味で喜んでもらえることを信じて、医師や教師は最善をつくす。にもかかわらず、面倒は嫌だ、といってふんぞり返っている患者や学生は、その病気や能力以前に、人間として手のほどこしようがない。

 それは、山岳コースのガイドを頼みながら、もう歩きたくない、と言い出すツアー客のようなものだ。無理なプランならしかたないが、たんなるわがままなら、最初からなにも無理をして山になんか来なくてもいいのに、ということになる。医師や教師は、できるだけ歩きやすい道を選ぶが、山が山でなくなるわけではない。