読書の習慣

 寝る前には、小一時間、本を読むことにしている。そういう習慣にでもしないと、あれこれ多忙すぎて、本なんか読んでいる暇がない。もっとも、遅くまで読みふけっていると、これまた明日の仕事にさしつかえる。だから、新しく買った本はダメ。昔読んだが、すっかり忘れてしまっているようなものがいい。

 最近は、カントの『判断力批判』。いろいろ余計なことを勉強してから読み直すと、感慨も深い。学生のころは、まさに崇拝するかのように読み解いたものだが、この年になると、笑いながら読めて、これまたおもしろい。よくもまあ、こんな空理空論のインチキ法学みたいな大著を書いたなぁ、と思う。あるんだかないんだか、わからない問題に対して、司法手続まがいの論調で追求がなされる。カントは、よほど法学コンプレックスがあったのだろう。

 何回か読んでいるために、線引きやメモの書き込みも地層化している。すべて自分がやったことなのに、まるで何人ものひとが読んできた古本のように思えるのも不思議だ。まあ、過去の自分など、他人のようなものだ。そして、同じ本の上で、著者と、過去の自分と、いまの自分が、そういう書き込みを介しながら対話している。これまた奇妙な感覚。本の方はなにも変わっていないのに、著者は、昔に読んだときよりだいぶ老けたような印象だ。