倉本聰と野村秋介

 今年のTBSの終戦ドラマは倉本の『帰国』だそうだ。倉本と同じ1935年生まれに、野村秋介という人もいた。戦前を戦後に引きずってきてしまった世代。そのすぐ下の団塊のバカどもは、前の世代が行きたくても行かれなかった学校を解体し、持ちたくても持てなかった家族を破壊し、帰りたくても帰れなかった故郷を衰滅させた。そりゃ、戦争で殺された世代が、この現実を見れば、言いたいことはあるだろう。

 しかし、倉本や野村を見ていて不思議なのは、行動派のくせに、芯のところでは、だれであろうと、きちんと話せばきっとわかってもらえる、と、人間の良心を堅く信じていることだ。ところが、団塊は、根っからちゃらんぽらん。もっともらしいことを言い散らすが、うやむやのままに先送りし、面倒な約束などけろっと忘れてしまう。だから、倉本や野村は、毎度、失望し傷心に打ちひしがれる。

 野村に至っては、ほんとうに自分で命がけの談判をやってしまった。人間なら、それだけの言葉の重さに銘するところがあるだろう、と思ったのか。だが、新聞社も世の中も、すぐにすべて忘れた。言葉さえも危機的な時代、ムダに能弁に軽言を弄する世の人々を見ていると、吐き気がする。それでも、心ある作家や政治家は、一縷の希望とともに言葉に命を吹き込もうとする。