電子ブックよりオーディオブック

 重いよ。じゃま。文庫や新書なら、通勤でも、出張でも、カバンにつっこめる。でも、近年、米国や欧州で急速に伸びているのは、じつは電子ブックより、オーディオブックだ。それも小説ではなく、実用書のたぐい。カードケースほどの大きさで単行本を何冊も持ち歩けるんだから、文庫や新書よりさらにかんたん。目をつむって聞いているだけでいいんだから、楽だしね。

 私もけっこう英語や欧州語のオーディオブックを買っている。買うのも楽になった。以前は単行本の抜粋というのが多かったが、近年は全文の著者録音というのが増えている。それも、CDを取り寄せるのではなく、ネットでダウンロードするだけ。値段はそこそこだが、とにかくデータの方が扱いの始末がいい。なんでもかんでも携帯に流し込んで、暇なときにイヤホンや車、部屋のステレオにつなぐだけ。

 だが、日本語のはほとんど持っていない。小説以外、あまり出ていないし、これといって、ほしい本もない。考えてみるに、昨今の日本の単行本の多くは、著者の名刺代わりの書き散らしで、録音してまで聞くに値するような、未来の古典がない。まあ、数がはけなければ採算が合わないのだろうが、そもそも日本人って、言いたがりばっかで、素でも人の話を聞かないからなぁ。