シャネルとナチス

 ヒトラーの時代、クリムトのような分離派がむしろ画壇を支配していた。デザインは、いまだアートと認めら絵ず、ポワレのようにファッションか、バウハウスのように唯物主義と結びついていた。ヒトラーのパースのような絵は、生気のない駄作として切り捨てられた。だが、彼は、アートとしてのデザインの意義を明確に認識していた。だから、ヒトラー本人を筆頭に、ポルシェ、シャネル、ボス、シュペーア、など、数多くのデザイナーたちがナチスの下に集まってきた。

 シャネルは、戦後、ナチスの関与を騒がれて十年に渡ってほされたが、彼女に言わせれば、一部の男たちがかってに戦争を始めて、あいつは敵だ、こいつは味方だ、と、世界を二分しただけ。彼女は、戦争があろうとなかろうと、生きるためにずっと戦ってきたのだし、朝は服を選び、昼は働き、夜は蝶になる。それをじゃまするやつは、だれであれ、彼女にとってみんな敵なのだ。

 サッカーに浮かれ騒ぎ、勝った負けたと騒いでいるのもいいが、人を巻き込むのは迷惑だ。いまどき、世界では、在日だの、ハーフだの、めずらしくもない。国籍が同じなら、仲間だなどと思っているのは、山奥の田舎者だけだ。シャネルもまた、フランスではなく、むしろナチスと戦った米国で爆発的に受け入れられる。