技術の限界効用逓減

タイヤを取り替えた。メーカーの偉い人の口利きで、かなり良いものを世話してもらった。だが、いかんせん、そんなに車マニアでもないので、違いがよくわからない。まあ、静かだな、というくらいか。きっと数十年来のとてつもない研究開発の成果なのだろう。こういう長年の努力の集積が現在の製品の性能や安全を支えているのだろう。そもそも自動車は、内部での燃料の爆発によるもので、蒸気機関の時代には技術的に絶対不可能とされていたのだ。

しかし、百年もたつと、もうダメ詰めの段階だ。研究開発にかけた手間に比して、その成果は微々たるものとならざるをえない。かといって、根本の原理を変えて限界のプレイクスルーをめざすと、一時的にせよ、現在の性能や安全から大きく後退する。

だが、デジカメを前にフィルムメーカーになすスベがなかったように、先端技術は根本革新に弱い。タイヤを必要としない自動車が出てきたとき、タイヤメーカーはどうするのだろう。生き残りを考えるなら、他社がそれを作る前に自社でそれを手がけることが大切だ。自分自身を不要とするようなものをみずから作り出す勇断ができるかどうか。そこにトップの存在意義があるのだが。