METのファミリーオペラ

良い時代になったものだ。オペラのビデオをかけっぱなしで仕事をしている。最近のお気に入りは、METの『魔笛』。それもファミリー向けの二時間版。たるいところをばっさりやって見所満載。だいいち演出がジュリー・ティモアだ。METらしい無国籍のデタラメ話にしあがっている。

オペラや歌舞伎は大好きだが、正直、全曲通しはかったるい。ワグナーなんか、セリフも繰り返しが多くてくどい。伸びきって三年たったソバのようだ。むろん冷めちまってる。まして劇場だと、五時間も座っているのは、難行苦行そのもの。ばっさりやっちゃえよ、と思うのだが、変なクラシックファンがうるさい。

それをMETはやってくれた。とくに『魔笛』では、夜の女王に、あちこちでこれを当たり役にしている今最高のエリカ・ミクローシャを呼んできた。ひねくった体勢でコロラチュラを唱い切る。なんでこんなすごいことができるのか、と思ったら、この人、歌の前は陸上選手だったそうだ。鍛え方が違うんだろうな。ムチムチの色男ネイサン・ガンもパパゲーノ役で大活躍。ザラストロもやたらでかいし。弛んだ醜いデブはモノスタストスだけ。タミーノ、パミーナは、ぱっとしないが、もともとおまけだ。まあ、ミクローシャとガンが出てれば、何度でも見るよ。やっぱりオペラは見た目が大切だ。