新潮社の敗訴確定:ウワサの事実性

 新潮社の最高裁上告が棄却された。それにしても、週刊誌だけでなく、新聞記事もひどいな。配信記事のママ再掲ばっか。学生のコピペレポートを笑えんよ。この事件、新聞記事だけを読んでも、なにがなんだったのか、さっぱりわからんだろう。

 はじまりは、週刊新潮の2007年11月8日号だ。ここで、ある大学の理事長が、創価学会と大学を乗っ取ろうとしている、というウワサがある、と書いた。学生募集の時期に、こういう記事が出されれば、大学側は怒る。で、名誉毀損裁判。記事の内容も、乗っ取った、という話ではなく、乗っ取ろうとしている、という現在進行形で、それも、というウワサがある、と、伝聞でくくっているのがミソ。

 新潮社は、裁判で、だってウワサがあるのは事実だもん、と、カバチを垂れた。昨年3月30日の東京高裁は、ウワサの内容を真実と信じるにたる相当の理由があったとは認められない、だいいちろくに取材もしてなじゃん、ウワサの内容の真実性を立証しなければ賠償責任を負えよ、命じた。まともなジャーナリストなら、ここで意地になって、内容の真実性の立証でもしそうなものだが、新潮社は、だってウワサがあるのは事実だもん、っていうカバチの繰り返しだけで最高裁に上告した。一年かかって、やっぱり敗訴。バカだね。

 だが、新潮社のバカさかげんは、さらに深い。この、ウワサがあるのは事実だ、というアホなカバチに頭がこんがらがり、自分自身がガセをつかまされてしまったことだ。ガセというのは、おさわがせの隠語で、うさんくさい連中が売り込みに来る嘘ネタのこと。1987年5月3日の朝日新聞阪神支局襲撃事件に関し、週刊新潮2009年2月5日号-26日号(19日発売)まで、4回も自称犯人の手記を連載。23日に朝日新聞が検証して反論。にもかかわらず、週刊新潮は3月5日号(2月26日発売)に、朝日反駁記事を掲載。結局、ガセを認めて、担当者たちを自分で処分。ほんとうにバカだね。

 ウワサがある、なんていうのは、ジャーナリストのとっかかりの一歩にすぎない。ウワサをそのままコピペして記事にするなんて、そんなの、ジャーナリストの仕事じゃないよ。ウラ取りして、ナンボだろ。そのウラ取りで、ジャーナリストとしてカネもらってんじゃないのか。それがプロの情報の付加価値というものじゃないのか。

 ちかごろ裁判リスクがでかすぎて、記事が書けない、なんて嘆いていたけれど、根っからバカだな。ウワサなんかに頼らず、ちゃんと自分で取材して記事を書けばいいんだよ。もちろん当事者としての事実そのものではなく、事実についての情報というものを扱う以上、裁判リスクは完全にゼロにはならんが、ドシロウトとの違いは、プロはできるかぎりのウラを取って、その裁判リスクを最小限に抑えこむことじゃないのか。

 こんなジャーナリズムの基本もわからず、ウワサがあるのは事実だもん、などというカバチを振り回すようじゃ、2ちゃんのチューボーと同列だ。この程度のウワサやバカ話は、ネットにあふれかえっている。そりゃ、もう、週刊誌なんか、デジタルディバイドな、よほどの耄碌じいさんしか、買わんだろう。民間の航空会社だってもう止めたのだから、公共の図書館とか病院とかも、税金の無駄だから、こういうどうでもいい週刊誌の定期購読は、いいかげん仕分けしろよ。でも、置いてあれば、見るけどな。