ウィルスバスターというウィルス

 知人のパソコンのチューンを頼まれたが、真っ先にウィルスバスターを削除。店がオマケでつけてくれたので、インストールしたのだ、と言う。それで動作が、おかしくなった、とのこと。でも、それって、もともと箱にWindows7対応って書いてないじゃないか。そんな売れ残りの余りもののオマケ、無い方がましだ。

 そうでなくても、ウィルスバスターは、ひどい。うざい。えぐい。オマケでなくても、よく無料でプレインストールされているが、あくまでお試しで、数ヶ月でデータ更新が切れる。そして、切れる前から、とんでもなくしつこいポップアップで、早よう買え、買わんと呪うぞ、祟るぞ、みたいな警告を出し続けてくる。ほったらかして、それで期限切れになったら消えるかと思ったら、とんでもない。その後もポップアップ、ポップアップ、ポップアップ。途中で、ピコンピコンと出てきて、まったく仕事にならない。そればかりではない。メールアドレスの方にも、膨大なメールを毎日、毎日、送り続けてくる。

 ようするに、ウィルスバスターそのものが、パソコンにとってはウィルスに他ならない。そのアプリは、オーナーである君の意図を無視して、トレンドマクロ社の利益のために勝手に君のパソコンの中で動いている。そういうのをウィルスと言うのだ。あんなの、けっして試用なんかしてはいけない。メールアドレスの登録など論外だ。スタートアップやアップデートはもちろん、本体そのもの、そのデータ領域まで、徹底的に駆除した方がいい。まして、ノートンだの、なんだの、自分で買って入れるのも、止めた方がいい。アップデートだの、ネットワークだの、あちこちが動かなくなる。(たしかにXPのころはノートンが必要だったが、Vistaに360は最悪だ。)

 もちろんパソコンは、ネットでつなげば、いろいろトラブルに巻き込まれることもあるだろう。しかし、最近は、その攻撃にさらされるマイクロソフトその他のソフトメーカーが自分で責任をとってすぐに対応してくれている。純正ソフトでアップデートをきちんとしておけば、かなりリスクは抑えられる。また、追加でマイクロソフトのセキュリティエッセンシャルも入れておいた方がいい。プロバイダの迷惑メール排除サービスも、近ごろは無料のところが多い。(これは容量対策でもあるので。)

 割れ物だの、ウィニーだので、怪しげなサイトをうろうろしているようなやつは、どんな強力最新のセキュリティソフトをかましたって、感染する。まずは余計なところに近づかないこと。そもそも経済学の原則からすれば、正規のものの価格は、不正なものが引き起こす損害の期待値へと均衡していく。それも、それは平均であって、低い確率ながら、実際にトラブルが起こってしまったときの損害は、計り知れない。だったら、正規のもの方がずっと安心だ。

 さらには、よほど必要でもないのなら、不正のもの以前に、正規のものも入れない、というのがコストダウンになり、また、トラブルを回避するコツでもある。余計なことをしないなら、特殊なウィルス対策などする必要もないのだ。定期的なクリーンインストールによるリブート、それどころかハードディスクも、マシン本体さえも、まめに交換してしまえばいい。だいたい、ネットにつながるパソコンなんかに、重要なデータなど、常駐で入れておくものではないだろう。セキュリティ以前に、ネットにはつながない、という選択もありうることを思い出そう。

 このウィルスバスターの問題は、昨今の現実にも似ている気がする。問題が起こって、タダで相談に乗ってくれるなどと言う知人に解決を頼んだら、その知人のじつは裏ではヤクザがらみで、別件で延々とすいとられ、それで弁護士に相談したら、ようやくヤクザはいなくなったが、弁護士がコンサルタントとしてへばりつく、とか。余計なことはしない、余計な人とは関わらない、余計なものは持たない。そして、こまめにすべてを整理清算して一新。トラブルを避けるには、それがいちばんなのだろう。