ダヴィンチ・ウォー

 パッケージからして、あまりにチープだ。だいいち、売っているのが、ホームセンターのレジ横の処分棚だ。画質の悪い、著作権切れ無断複製のダンボのDVDなんかと並んでいる。いや、ぐちゃぐちゃに放り込まれている。

 でも、これほどまでに安っぽいと、とても気になる。聖杯にナチスダヴィンチ、と言われれば、そりゃ、世間受けはしないが、なかなかの掘り出しもの、という可能性もないではない。とはいえ、それにしても、パッケージの写真からして、安っぽい。CGというより、画面に直接に手書きしただけ。火薬なしのSEだけでごまかした感じがプンプンしている。

 こんな映画、作るやつも作るやつだが、驚くのは、こんなとてつもないクズ映画を、わざわざ版権を取って、日本語版の字幕やパッケージも作って、日本で売ろうとしたやつがいることだ。すばらしい。「今年のキーワードをふんだんに盛り込んだ高回転必至作」というコピーは、レンタル店に抱き合わせで押しつけるための数合わせだけを目的にしていることを表わしているのだろう。まあ、絵が映っていれば、なんでもよかったんだろうな。

 それにしても、この邦題もひどい。原題は『ダヴィンチの呪い』だが、『ダヴィンチ・ウォー』では、『ダヴィンチ・ウォーズ』という作品が1993年にあるのとかぶってしまっている。そして、こっちの原題が、それこそ『ダヴィンチ・ウォー』。

 もっとも、この元祖『ダヴィンチ・ウォー』も、じつはすごい。これ、かの天才ダヴィンチとはまったく無関係で、主人公の名前がダヴィンチというだけ。それも、ベトナム特殊部隊帰りの男。つまり、ランボーのパチ。そのうえ、出ているのが、なんとトラヴォルタ! ただし、そのジョーイというファーストネームは、保険契約書の裏の細則並みのちっこい字で書かれている。

 なんにしても、クズ映画の名前をパクったドクズ映画なんていうものが、はるばる海を越えて極東の日本にまでやってきて、そこらの市中で安く手軽に買えるなんて、なんて良い映像文化時代になったことだろう。でも、結局、自分はさすがに買わなかったけどさ。後悔はないぜ。