観光立国の夢と現実

 観光立国だとかいって、休日をばらけさせようとか、YOKOSO JAPAN! キャンペーンで外国人客を集めようなんてやっているけれど、いまの日本の旅館やホテルの状況からすると、だいじょうぶなのか、と心配する。

 いろいろ機会があって、あちこち泊まらせていただくことも少なくないが、ほんとうに完璧だったのは、フォーシーズンズくらいか。グランドハイアットですら、テレビ局のとなりにありながら、16:9のデジタルテレビに4:3でハイビジョンが流れていたりするのが現実だ。都やオリエンタル、プリンスなんかのクラスのチェーンホテルだと、いまだにブラウン管の部屋も残っている。カーペットも、かなり、ねぇ。。。バブル時代にふくれあがりすぎて、設備更新ができない、人材が揃わないのだろう。ヘタをしたら、新興のビジネスホテルチェーンの方が、部屋が狭いとはいえ、こぎれいだったりする。もっとも、それだって、買収による展開だと、内装を入れ替えても、壁や空調、配管の古さはどうしようもない。

 地方の旅館も同様。リゾートブームに沸いたバブルから20年。宿泊業としては当然に全面改装が必要な状況に達している。ところが、昨今の営業不振と値下競争、そしてあまりの規模の大きさに、半端な高級ホテルほど身動きがとれない。ここに、大量の外国人客を呼び込む、などというのは、悪評が広まるだけ。だいいち、国内の旅行だって、富裕層は高齢化しすぎてしまって、遠くまで出歩く体力なんかない。家族連れは、ヒマができても、カネがない。まして、社員旅行なんか、論外。

 一方、ほどほどの価格の中堅どころで健闘しているリゾートホテルや旅館も少なくない。けっして超高級ではないが、伝統ある名門として再生してきたところもある。万平なんか、そうだろう。ここはバブルのころの方がすさんでいて、その後、森ビル系列になって、昔ながらの落ち着きが戻った。(一方、富士屋や帝国は、その後、国際興業がガタガタしているんで、いろいろたいへんそうだ。)

 うまいところは、リゾートクラブの法人会員割引や、臨機応変のネットの活用などによって、とにかく空室を減らし、個別客に細かく対応している。こういうところは、ホテルマン、ホテルウーマンというより、ファーストフードやファミリーレストランでこなれた人材をうまく活用している。彼らは、ごちゃごちゃ言わなくたって、サービスのなんたるか、を学生時代からのアルバイトで体得してきているからだ。

 それにしても、つらいのは、観光地そのものが、ダメになってしまっていること。乱開発で、温泉や寺社のすぐ近くまで日常的なマンションがそびえ立ち、コンビニやパチンコ屋が深夜までピカピカ。伊勢神宮みたいに、こういうの、全部、ぶち壊すなんていうこともできないだろうしねぇ。(あそこは、かつては内宮にまで街があったが、明治末期にぜんぶ撤去して、いまの神々しい五十鈴川の橋になった。)周辺にいたっては、バブルの残骸だらけ。潰れたまま錆びて放置されているお土産屋とか、ドライブインとか、どうしようもない。

 観光立国をやりたいなら、まず、お掃除立国だと思うよ。バブルのころの建物って、ムダに素材が豪華だから、きちんと手を入れ直せば、なかには相当の掘り出しものもある。観光地も、ばっちい廃屋とか、廃車とか撤去するだけでも、けっこうすっきりする。作りすぎたコンクリの建造物も、使わないなら、ブレーカーで砕いて、砂利にでもしてしまえ。それを川に撒いたら、タニシが大発生して、ホタルが出てくるよ。