NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)の人気

 昨今、インターネットラジオの中で、世界的に聴取者をのばしているのが、このNPRだ。日本でも以前からFEN(AFN)で聞くことができたが、その本体がインターネットで直接に24時間、ストリーム-でアクセスできるようになった。

 これまで米国でも、ローカル公共局がこの局の番組を取捨選択して放送していたにすぎない。しかし、もともと人気があるのは、ローカル番組ではなく、NPR製作の番組の方だ。インターネットでNPRが聞けるとなると、あほくさくてローカルラジオなんか聴けない。

 その名のとおり、NPRは公共放送だが、NHKのような、政治家や官僚が資本的・人事的に介入可能な国営放送ではない。米国政府は、地域の情報網の維持のために、むしろローカルの公共ラジオ局の方に補助金を出す。そして、ローカル公共局が任意でNPRの番組を買う。だから、政府はNPRには直接の介入ができないし、また、NPRと言えども、ローカル公共局に買ってもらえるような良い番組を作らなければならない、というインセンティヴが働いている。

 そうでなくても、NPRには、膨大な個人や企業、財団の直接寄付がある。それが資金の半分にもなる。だから、NPRは、ラジオの中でも高踏派、つまり、ラジオのためのラジオ、という印象。客に媚びることなく、悠然とニュースや文化的な話題を採り上げる。そのうえ、内容の信憑性や文化的な水準も高い。毒蝮三太夫がやっていたような、いわゆる下町のおばちゃんたちの井戸端会議とはまったく違う雰囲気だ。しかし、後者のような世間話や、アホタレントの売り込み話なら、そこらにころがっているのであって、わざわざラジオで聞くまでもない。NPRは、そういう喧噪を苦手とし、地域によって分断されてしまっている人々をつなぎ直す役割を担っている。それが、インターネットラジオによって世界的に広がった。

 しかし、NPRはけっして堅苦しい番組ばかりではない。BBCのおバカ番組から毒を抜いたような緩い番組もある。公共放送のくせに、けっこう平気で、政治や宗教、有名人をジョークのネタにする。およそ流行を追わない音楽も流れている。スターバックスなどの、ぜんぜんやる気のないCMもある。しかし、そのやる気のなさこそが、押しつけがましくなくて、むしろ、スポンサーに好感がもてるのだ。

 日本のテレビやラジオ、広告代理店や企業、アナウンサーやタレントは、がんばりすぎなんだと思う。そりゃクスリでもやらんとやっていられんほど、毎日、毎日、笑うのも、怒るのも、泣くのも、ハイテンションな番組やCMばかり。やっぱり、あいつら、頭がおかしいんじゃないか。疲れるし、そういうハイテンションなやつって、いまの不景気な時代からすれば、浮きまくっている。だいたい、時代の空気が読めない連中が、マスコミなんかやっているのがまちがいだろ。