トヨタ事件と高級ブランド品

 さて、どうするのかな。問題の根幹は、トヨタのコストダウン体質だ。なんでトヨタが電子制御システムに関して責任を認めないのか、本格的なリコールをしないのか、というと、リコールをしたって、取り替える部品が準備できていないからだ。だいいち、代替部品を準備するもなにも、原因もわからない。

 アクセル部品に関してはまだよかった。米国CTS製部品を日本のデンソー型と比較して補強する、ということで、リコールが成り立った。しかし、根幹の電子制御システムに関しては、コストダウンのためにトヨタ全体で一元化してしまっている。トヨタって、いろいろ車種があるように見えても、肝心の心臓部がどれも同一で、今回、そこになにか問題があるらしい、と指摘されて、どうしようもなくなった。

 欠陥の証明より、無欠陥の証明の方がはるかに難しい。なのに、トヨタは、初動対応にしくじって、いまや電子制御システムの無欠陥の証明をしなければならなくなってしまっている。つくづく危機管理の甘い会社だ。

 タイミングもついていない。今月初め、トヨタ系の小糸製作所が世界32社の航空機シートで、十年以上もデータ偽装をやっていたのが発覚してしまっている。そして、実際、小糸製のJAL機ファーストクラスのシートは、耐火性能が足りない。こんなことをやっているから、トヨタがいくら内部データを出しても、信用されない。

 本物のルイ・ヴィトンと偽物のルイ・ヴィトンを見分ける方法はなにか。いくら縫い目だの、ロゴだのをチェックしたって、いくらでも精巧なパチがある。答えは、直営店ですぐに修理してもらえるかどうか、だ。ヴィトンは、旅行で使うもので、中身を守るためにボロボロに傷んで当然なのだから、世界中で修理ができてこそ意味がある。ブランド品というのは、そういうことだ。その高い金額には、その修理保証が乗っかっている。

 トヨタが大衆車を作っているうちは、しょせん日本車、安かろう、悪かろう、で、済んでいた。ところが、いつの間にか、日本車は高級車になってしまった。レクサスやファーストクラスシートでチョンボをやって、高いカネを払って買ったエスタブリッシュの命を危険に陥れれば、絶対に許してはもらえない。

 そもそもトヨタは、しょせん大衆向けカローラの会社で、高級車を作れるようなガラではない。ベンツやボルボ、レガシーみたいな高級車を作るには、コストダウンなんかするようなしみったれた体質では無理だ。コストを無視した、バカみたいな技術志向、安全志向であってこそ、高級車というもの。日本の会社でも、富士重工やホンダはそういう職人体質だったからこそ、米国でも本物の高級車になりえた。しかし、トヨタはしょせん商売人の会社だ。

 たとえば、ガソリンをケチケチするための大衆車向けと同じ電子制御システムなんか、大人げないハイパワーの高級車に載せなくてもよかったはずだ。贅沢に根本から別開発にしておけば、リコールが必要になった際に当座のバックアップ手段として、相互に利用可能であったはずだ。見せかけだけの高級車だったから、価格相応の修理応対をしようとしないから、すぐに修理修繕ができるだけの体制もないくせに高級車と称して売ったから、連中は詐欺だ、殺人車だと怒っている。このことをトヨタが理解せず、たんなる一部品の欠陥の有無の問題として処理しようとすればするほど、連中を怒らすことになる。

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