建築の個性2

 良い家かどうかは、屋根を見ればわかる。小屋組が複雑なのは、ダメ。家は屋根だ。雨がよけられてこその家。とくに、高温多湿の日本の場合はそうだろう。

 増築でもないのに、小屋組が複雑なのは、建築家の頭が悪いからだ。屋根以前に、一階と二階の間取りのつながりが解決していない。当然、布基礎もおかしい。その間を抜ける給排水その他の配管配線も、きっとぐちゃぐちゃだ。一方、住宅メーカーのできあいの間取りは美しい。コストの問題を含め、ムダがない。なにより、耐久性が考慮されている。もっとも、それでも、上下の色の塗り分けとか、ベランダの飛び出しとか、変ちくりんな外形のお飾りをつけないと、日本では売れ行きがよくないらしい。バカじゃなかろうか。

 いまどきの素材を使えば、たしかに沼の中だろうと、崖の縁だろうと、家は建つ。しかし、それは、相応の経験を積んだ建築士と施工者が手がければこそだ。注文住宅で地下室なんか作れば、水が流れ込む。建築士から止水板の指示がなければ施工者は、そんなの入れないし、指示があっても、施工者の技量がなければ、止水板は機能しない。まして、天窓だの、吹き抜けだの、相応の断熱結露対策をしなければ、家の中で天井から雨が降る。

 施主にしても、建築士にしても、オレって賢い、などというのは、たいていは、バカなだけだ。建築の歴史で、その地方でやらなかったことは、やらなかっただけの理由がある。難しいのは、そういう妙なことをやって失敗した家は、腐って潰れて残らない。だから、経験がうまく伝わらず、次から次にバカが出てくる。もちろん、その理由を熟知した上で、最新の素材お使って万全の対策の上でやるのなら、できないことはない。しかし、それを聞きかじりや見よう見まねでやってみても、必ず失敗する。

 そして、いま、日本の家の大半は、20年そこそこで腐って潰れていっている。その愚かしい経験は引き継がれず、いま、この瞬間も、オレって賢い、と思っているバカな施主や建築士が図面を眺めている。

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