ステップ・アウトライン

 小難しい本しか読まないと、かえってバカになる。というのも、芸術系の問題で、小難しい本というのは、ほとんどが現場を知らない連中の考えオチだからだ。とくに映像関係はひどい。

 一方、文章もへたっぴな、しかし、実際に創作をやっている連中の本は、意外にアイディアに満ちている。ステップ・アウトラインというのもそうだ。かならずしも一般的ではないが、いくつかの本で確認できたので、一部では知られている技法だ。しかし、だれが言い出したのか、は、わからないし、けっこう内容的に混乱もある。だが、映像関係の現場用語など、たいていそんなものだ。

 ストーリーを創る場合、それに先だってアウトラインを構築しなければならない。通常のアウトラインは、起こった事件を羅列していく。つまり、変化に次ぐ変化、で、物語が展開していく。哲学的に言うと、ベルクソン風の創発性に頼っており、どこに転がっていくかわからない。どこまで続くかわからない。どこぞの編集者あがりのマンガ原作者なんかに多い方法だ。

 これに対して、ステップ・アウトラインは、フューチャー映画や小説の制作で有効だ。とにかく、2時間後、200頁後には、すべて解決していなければならない。そして、ここにたどり着くまでの静止的な状況を、それぞれステップシーンとして書き出していく。動機蓄積シーン、遺体発見シーン、捜索努力シーン、等々。重要なことは、それぞれのステップシーンの中では、じつはなにも起きない、物語に変化を与えない、ということ。

 いわば、建物のフロアだけ作り付けてしまう。これがステップアウトライン。それから、フロアとフロアをつなぐ方法を、あれこれと工夫する。フロアとフロアがつながってさえいれば、代替手段はいくらでもある。

 このストーリー構築方法は、進捗管理として重要だ。オチるかどうかわからないような話に乗って、ライターに丸投げにしてしまうのではなく、まずプロデューサー側がフロアの割り付けをしておいて、複数のライターたちにつなぎ方のアイディアを出させ、もっともおもしろいものを採用する。

 当然と言えば当然だが、ビジネスとしての物語創りとは、こういうものだ。脚本家だの、ライターだのが、アンタチャブルというのでは、投資リスクが大きすぎる。