ドイツのアクションドラマGSG-9

 昨今、NHKに加えてFOX系のチャンネルのせいで、やたら米国のドラマが大量に流れ込んできている一方、日本のドラマはどれも全滅状態。マンガ原作付の安全作じゃないと企画会議に通らない慣習ができあがっちゃったものなぁ。そのくせ初回撃沈だらけじゃ、なにやってんだか。

 日本は、キーキャスティングが先にあって、企画書だけで番組枠が決まる。脚本は、著名な脚本家先生様個人に丸投げで、最初の数回分だけでスタート。放送初回から率が取れないものだから、出演者の事務所や営業が騒ぎだし、プロデューサーをつつき回し、転進に次ぐ転進。ひたすら迷走しながら、撮影現場からせっつかれ、やっつけ仕事でバトンのように渡す。アニメもそうだけれど、ドラマも、こんな古い世代の、ムダにカネをかけた業界ごっこみたいなやり方にのめりこんでいると、ほんとうにどうにもならなくなるよ。

 一方、米国のドラマは、安く速撮りするために、いまや背景ロケ班と人物クロマキー班に分けて、コンピュータ合成で作る。とはいえ、脚本は、若手から大御所まで何人もが加わり、徹底的に時間をかけて練り込んでいる。そして、この設計図が完全にできあがっていればこそ、背景と人物の別撮りができる。『カシミアマフィア』とか、ぜんぶのセリフにキレがあって、かっこいいものなぁ。もっとも、これは、脚本家たちのストで、7回で打ち切りになった。

 こんな中、どういうわけか、ドイツのSAT1のアクションドラマが日本にも入ってきている。対テロリスト部隊なんだけど、度派手な『24』と違って、やたらリアルな、ちまい事件ばっか。そのくせ、アクションはなかなか。特撮なんかない。でも、おもしろい。むしろミニマムな条件に話を凝縮しているから、相手との人間的な腹の探り合いにハラハラさせられる。そのうえ、筋は予想外の方向へ二転三転。45分でよくこしらえたな、と思うが、ドイツには、『タートオルト』という偉大な模範的脚本のストックがあるからねぇ。でも、その影響で、事件の他に、メンバーの家庭内事情のドロドロがズルズルと各話をつないでいたりして。あー、ややこしい。

 ドイツやフランス、イタリアには、昔ながらのドラマティックで人間くさいアクションが多い。そのうえ、すっとぼけたコメディの連ドラとか、ぶっとんだスケッチとかも、おもしろいのがいっぱいあるのだけれど、もっとやってくれないかなぁ。スカイ・デュモンの『貧乏億万長者』とか、リーマン以前のバブリーな『カシミア』よりずっと時代に合っていると思うんだけどなぁ。