ドキュメンタリーの新世代1

 講義でマイケル・ムーアを分析している。が、なんにしても今日は寒い。だれだ、こんな季節にコペンハーゲンで環境会議を企画したバカは。会議がまとまらないのも当然だ。なんでもかんでも凍り付いてしまう真冬のコペンハーゲンで、地球温暖化、なんて言ったって、ぜんぜん説得力がない。まして、ここ数日、ヨーロッパはどこも凍死者が出るほど、とんでもないことになっている。

 というわけで、ムーアの言うように、ブッシュも信用していないが、ムーアが絶賛するゴアだって似たようなもの。結局、どっちも、金儲けをたくらんでいる連中とつるんで、世間にわけのわからない恐怖をふりまいている、という意味では、同じじゃん。もちろん現世代が化石燃料を使っていて良いわけはない、とは思うが、そのことと、地球が温暖化する、異常気象になる、という因果関係には、相当の飛躍があるように思う。ちょっと太陽の黒点が消えただけ、ちょっと火山が噴火しただけ、でも、人類は滅びるのだから、人間が努力して地球を救えるかのように言うのは、ブッシュなみに、うさんくさい。

 まあ、なんにしても、『華氏911』は、政治的な情報操作をちゃかしているという意味では、とてつもなくおもしろい。もちろんブラッドベリの『華氏451』を知っていればこそ、ファイアーマンたる火付盗賊たちの悪行三昧が笑えるのだが。

 しかし、ムーアの映画の要点は、ブッシュ批判ではあるまい。恐怖による支配だ。そのテーマは、『ロジャー』や『ボーリング』から、ずっと一貫している。恐怖のイメージがいかに人間の自由な思考を麻痺させてしまうか、そして、その恐怖のイメージを操って人々を麻痺させる連中の存在。だから、それは、映画になり、ドキュメンタリーになる。