就職のためのレトリック3

 これは、長所・短所を書け、などという質問でも同じことだ。長所と短所と同じことを両面から書く。短所=ものごとにこだわりがある、長所=時間がかかっても最後まで確実にやり遂げる、というように。もちろん、これは、自分の売り文句と内容的に一致していなければならない。

 小難しい言い方でいうと、これはヘーゲル的な弁証法だ。同じことが長所となり、短所となりながら、その人物のトータルイメージが浮かび上がってくる。これが別々の話だと、表と裏の帳尻が合わず、イメージが像を結ばない。

 逆に言うと、こういう質問では、自分というものを、どれだけ客観的に捉えられているか、がわかる。表と裏が合わない学生は、答えの内容がなんであれ、自分に対する客観性が欠けている、ということになる。

 もちろん長所だの短所だのに限らず、直接的に描写するのではなく、端的なエピソードの中でのイメージとして提示することが重要だ。端的なエピソードというのは、こういう状況で、自分はこうした、という形式。つまり、状況と選択。状況説明が長いのは嫌われる。選択も、理由の説明ではなく、その行動そのものがまさに選択になっているもの。

 たとえば、状況=学園祭で食べ歩き同好会の研究発表をしようとしていたが、教室内では火を使ってはいけない、中止するように、との通知が当日になって本部からあった。選択=しかし、あきらめず、急遽、会場を屋外に場を移し、自分たちが考える理想のB級グルメとして、みんなに納豆汁をふるまった。結果=寒い屋外だからこそ、その暖かさが引き立ち、より多くの人に関心を持ってもらうことができた、とかいうように。