誰も言わない卒論の書き方3

 はっきり言って、卒論に、それほど高度の内容など、だれも期待していない。重要なのは、緊密に考え抜かれているかどうかだ。どでかいアイディアだが、途中がでたらめ、というのでは、論文として、まったく意味がない。

 ところが、大学生が、実際、生まれて初めて長い文章を書こうとすると、えらい問題を取り上げたがる。世界不況を脱するにはどうすべきか、など、きみの手に負えるくらいなら苦労しない。はたまた、どこぞの会社の商品についてのあれこれ、みたいなのも、作っているやつの方が良く知っているに決まっている。アンケートや統計処理なども、リサーチ会社がカネをかけて調べ上げたのには、どうやってもかなうまい。

 学生らしいアプローチというのは、体力と実行力。リサーチ会社では割があわないようなことを、根性で現場現物から総ざらえで調べ上げる、というようなものだ。過去には、あちこちのテーマパークに行きまくり、それぞれのコーナーごとの匂いを調べ、その誘導効果について考える、なんていう女子学生もいた。これは、とんでもない時間がかかっているが、まさに盲点を突く研究で、かなりおもしろかった。

 なんにしても、1つの問題について、大言壮語するのではなく、地道に事実と推論を積み上げていくこと。先述のように、段落も文章も細切れにして、それぞれの関係が確実であるようにしていくこと。こうなると、前の段落と次の段落、前の文と次の文で、かならずなにかの文や語が重複して登場する。それが、前後をリンクさせているものだ。こういう重複があちこちに出てくるから、べつに長文なんか書こうと思わなくても、論理的に詰め挙げるだけで、初稿の三倍くらいにはふくれあがる。