ファンタジーと地平融合4

 だから、ファンタジーは帰還が重要だ。扉を開いて始まった物語は、向こう側からもこちら側につながっていなければならない。ダメダメファンタジーでは、むこうでひとくさりついたので、じゃあ帰ります、そして涙、涙のお別れ、というもの。簡単に帰れるくらいなら、現実以上にややこしい世界で苦労したりしないし、かえって向こう側の方がいごこちがよかったりする。

 問題なのは、なにもわかっていないバカな読者が大量にこちら側に押しかけてきてしまうこと。この移民どもは、観光気分でファンタジーの世界をヴァニティ・フェアに変えてしまう。まあ融合して壁がないのだし、そもそも物語が呼び込んだのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが、しょせん客にすぎないのだから、いいかげん帰ってくれないかなぁ、と思われているのも、連中はわからない。

 それどころか、連中は、居座って住み着いて、自分がそこの王になろうと、他の読者を蹴落として、醜悪なケンカまで始める。まあ、哲学書の翻訳者が著者本人のように偉そうに振る舞ったりする例は昔からあるが、どうせウソっぱちにすぎない世界に関して、オレさまの方が他のどの読者よりも詳しい、などと威張って、いったい何になるのだろう。

 物語の作者や出版社も悪い。売れるものだから、続編の続編の続編の続編、などというものを作り続ける。そして、たとえ作者が死んでも、別の作者を立てて、読者を物語漬けにして金儲けを続ける。それじゃ、麻薬の売人と同じだ。作者が、そのウソつきとしての最大の誠意として、最善の工夫で物語を終わらし、読者を突き放すことによってこそ、その物語を終わりなきものにしたことが、連中はわかっていない。

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