ファンタジーと地平融合2

 ウソをウソだと言う物語ほど真実を語るものはない。バカ話を知らずに、小難しい顔でガダマーを読んだところでなにもわかるものか。バカ話がバカ話であることそのものが語り出しているところにこそ、我々の真実がある。それはそこに真実を読むことではなく、ウソを読むことで真実を会得することだ。

 無理なファンタジーでは、秀才型のダリのシュールレアリスムのように、オストラニェニエ(異化)ばかりする。わざわざありえないものを丁寧に探して創り出している。しかし、おもしろいファンタジーでは、ありうるともありえないともつかないようなものが、どんどん湧き出してくる。中は外であり、外は中であり、その間に壁などないのだ。

 こうなると、主人公はもちろん、観客や読者も中に引きずり込まれる。ドンキホーテの出会う人物たちは、『ドンキホーテ』を読んでおり、クリストファーは、その出来事をよく知っているのに、ただちょっと忘れていただけなのだ。それどころか、観客や読者も、妖精を死なせないために、真剣に拍手して参加しなければならない。

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