英文・独文のライティング・ツール

 まあ、マイクロソフトのWord上で書く、というのが、いまや一般的だろう。そのうえ、Wordには、プルーフィング・ツール(Proofing tool)と呼ばれる機能が入っている。しかし、これは、基本的な文法しかひっかからない。統語や語用になると、有料のソフトが必要になる。

  Macだと、グラマリアン(Gramarian)に定評がある。一方、Windowsの方は、えらいことになっている。ホワイトスモーク(Whitesmoke)が、すさまじいネット・プロモーションを展開して、顰蹙を買っているのだ。今年1月に執念深いスパムを大量に送りまくった。そのうえ、グーグル検索しても、これしかひっかかってこない仕掛けをしている。いろいろあるように見えて、全部、結局はホワイトスモークにたどり着く。

 ホワイトスモークは、そもそもアプリケーションなのか、という点も疑問だ。たしかに見た目はアプリケーションなのだが、実際は、ネットでセンターにデータを送って、解析したものを送り返してくる。ネットとつながっていないノートでは使えない。だから、その価格は、アプリケーション代というより、サイトの利用料という感じ。たしかに、標準的な表現や、エンリッチ化のための代替語を提示してくれるので、日用や文芸の人々に向いている。とはいえ、じつは、これは使用者からデータを収集して再配給しているのであって、標準化するのは統計的に当然。エンリッチと言っても、個性的な表現ではなく、ほかのだれかがすでに思いついている凡庸なものの羅列になる危険性がある。

 プロユースとしては、ライターズ・ワークベンチ(Writer's Workbench)の方が評価が高い。これは、類義語の解説なども表示されるが、文法や表現よりも、読みやすさやスタイルの揺らぎをチェックする方に主眼が置かれており、作家の文体、語り口の安定性の指標になる。しかし、どうやら長文を大量に書く、まさにプロユースのためのもので、一般の人は、わざわざチェックしても、あまり意味がないかもしれない。いちおうマック版も出ている。

 また、ジャーナリストやビジネスマンでは、スタイル・ライター(Style Writer)の方が好まれる。これは、ストランク&ホワイトの原則に沿って、やたら短い、簡潔、平明な文章に、ばしばしと還元していくアプリケーションで、まったくの実用本位。表現のエンリッチなんて余計なことは、もってのほか。学者の専門用語なんかも、みんな日常語に還元されてしまうから、論文校正にも不向き。

 ちなみに、文法がややこしいドイツ語の場合、マイクロソフトのドイツ語のワードを買わなくても、プルーフィング・ツールのドイツ語版のみを買うこともできる。しかし、これが、あまり出来がよくない。プルーフィングのくせに、かなりまちがう。デューデンのコレクター・プラス(Korektor Plus)の方が、格段に精度が高い。ただし、これを使う場合、パソコンそのものの使用言語をドイツ語に設定する必要がある。まあ、どうせよくウムラウトとか打つなら、いっそそうしてしまった方が使いやすい。