フランクフルト・ブック・フェア

 今日から18日までの5日間、ドイツのフランクフルトで、世界最大のブック・フェアが開催され、例年30万人もの書籍出版関係者が訪れる。とはいえ、インターネットの普及による読書習慣の衰退に加え、昨年秋のリーマン・ショックによる経済全体の沈滞と、出版不況は、ここにも影を落としており、展示業者は昨年より400も減って、6900社になったとか。

 書籍はもともと修道院や大学での講義ないし書籍屋の写字によって作られてきた。それが、グーテンベルク活版印刷によって一変し、多くの印刷書籍業者が登場した。だから、ブック・フェアも、マインツの隣町、フランクフルトで開かれる。

 現代において、印刷は印刷屋に外注に出され、出版社と言えば、編集販売を行う会社となっているが、さらに今日は、編集も外注化が進んでおり、出版社の機能は、版権ビジネスにシフトしてきている。つまり、売れる版権を起こし、海外や他のメディアに販売する、ないし、価値ある海外や他のメディアの版権を転売する仕事だ。この意味でも、フランクフルト・ブック・フェアは、年来、急速に拡大を続けてきた。

 しかし、問題もないではない。著者の意向を離れて版権が売買され、利害関係者が膨らみ、結局、そのだれか一人、どれか一社のの問題だけで、本そのものが絶版となってしまうことが少なくない。また、欧米の習慣で、著者自身がオプション(出版権)として版権を先売りすることもできるために、いまだ書かれていない本が高値で国際的に売買されたりする。そして、そういう本にかぎって、なかなか完成せず、さらにオプションが転売され、場合によってはオプションを握る会社ごと売却され、権利関係がどんどんややこしくなっていく。

 ここ数日、ちょっといくつかの用が重なって、たまたまあちこちの出版関係の人と連絡を取る必要があったのだが、ドイツの出版社はもちろん、日本も、アメリカも、みんな出張中だ。聞けば、みんなフランクフルト。いいなぁ、いろいろな本が見られて。

 もっとも人混みは大嫌いだ。30万人なんて、論外だ。まして、このインフルエンザの大流行のときに。そんなところに行かなくても、ドイツやフランスの街角では、あちこちで一般市民による古本市が立てられる。フェダーワインでツヴィーベル・クーヘンでもつまみながら、小さな屋台を見て回り、掘り出し物を探したり、店の人と本の雑談をしたりするもの楽しい季節だ。


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