ミッキーマウスのオカルト9

 ウォルト・ディズニーに先行するマーク・トウェインを読むと、当時の中西部が、人口的には黒人の方が圧倒的に多く、その独自の文化が、支配側の白人にも強い影響を与えていたことが知られる。

 とにかく彼らはみな迷信や霊視を好んだ。それはいわゆるブードゥ教だ。このブードゥ教というのは、純粋にアフリカ的な呪術ではなく、カリブ海と中西部アメリカで熟成したもので、キリスト教とも親和性がある。この根底にあるのは、精霊的な多神教の世界観で、教義らしいものがあるわけではない。

 このブードゥ教は、ディズニー家の出身地であるアイルランドドルイド教の精霊的世界観と、同根であったのではないかと見まがうくらい似ている。実際、ジャガイモ飢饉で食い詰めてアメリカにやってきた内陸中西部の貧農アイルランド人の信仰と、西アフリカからカリブ海経由でやってきた黒人奴隷の信仰とが、ここで融合する。

 ジャック・オ・ランタンも、もともとはアイルランドの煉獄(地獄の手前)をさまよう男ウィルのカブのランタンの話だが、これは、ブードゥ教のゲーデと呼ばれる死神の話と一体化しており、あのカボチャの頭は、まさにブードゥ教の儀式で用いられるもので、生者と死者の間を仲介する。そして、ゲーデは、ブギーマンとして、もともとまさにハロウィンを担当する精霊なのだ。

 話をまとめると、アメリカの中でも、ハロウィンは、もともとかなり特殊な文化に発している。すなわち、キリスト教の彼岸観に、アイルランドドルイド教と黒人奴隷的ブードゥ教がくっついたもの。これは、内陸中西部でこそ生まれたものであり、まさにそこにウォルト・ディズニーと彼の仲間である「ドモレイ」たちは育った。しかし、彼らは、自分たちのその文化が特殊であることを知らなかった。そして、アニメや遊園地で、これを全米に、そして全世界に広めることになった。それは、「ドモレイ」たちの郷愁であり、子供たちが近所の大人たちとふれ合う、古き良きアメリカの、小さなコミュニティを象徴する祭りだ。


純丘曜彰ブログ速報版はこちら:http://sumioka.justblog.jp/blog/