ミッキーマウスのオカルト2

 プッサンの『アルカディアの牧童』を『ダヴィンチ・コード』の元ネタになった『レンヌ・ル・シャトーの謎』は、そのアナグラムから、宝探しの地図かなにかと思っているが、アルカディアがヘルメスの地であり、牧童は、その父ゼウスの仮の姿であることを知らないようでは、プッサンの謎など解けるわけがない。

 この手の謎解きを理論化したイコノロジーの祖、パノフスキーは、『パンドラの箱』において、十八世紀の散文劇を引き、ゼウス、パンドーラ、ヘルメス=アルルカンの関係を論じている。一方、バフチンは十三世紀の『五月木の芝居』からアルルカンとドゥースの結婚におけるカーニヴァル的な倒錯を論じた。さらに、十六世紀の『アルルカンの物語』では、その冥界下りが語られる。 クロック・ソット=ファルスタッフ=パルジヴァル=パンタグリュエル、ドン・ジョヴァンニメフィスト・フェレスも、みな物語として親族関係にある。アンドレーエの『化学の結婚』もそうだ。さらには、『魔笛』でパパゲーノに対し、パパゲーナが、当初、老婆の姿で現れてくるのも、それがアルルカンとパンドーラであることを示している。だいいち、パパげーノが持っているのは、ヘルメスが発明したというシューリンクスの笛(パーンの笛、パーンはヘルメスの子)そのものだ。

 この問題は、キリスト教の根本のところに触れる。だから、オカルトだ。イエス本人ないしその解釈者のパウロが、ユダヤ教とは異なる、もっと古い信仰を下敷きにしていた可能性に関わる。最近、それはエジプト教だ、などという本も出ているが、エジプトはもちろん、ギリシアや、オリエントをも含む、かなり広い領域に、ある神話が成立していたことが知られている。


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