スペインのCGアニメ『ドンキー・ホーテ(Donkey Xote)』

 これ、原題は『ルシオ(RUCIO)』。昨年、作られたスペイン製のCGアニメだ。出来はかなりいい。目のつけどころがいい。話のもとはドン・キホーテなのだが、主人公は、サンチョの乗るロバのルシオ。ただの郷士アロンソ・キハーナが騎士ドン・キホーテとしての叙任をめざして旅立ったように、ロバのルシオは、自分を馬だと言い張る。いつか立派な馬になって見せると言い張る。

 で、悪いやつらにそそのかされて、助けを求めるあこがれの君、ダルシネーアを探して冒険の旅に出る。が、ダルシネーアなんて、もともとが嘘っぱちの話。見つかるわけがない。

 当然、スペイン版なのだが、入手の都合でフランス版を買った。イングランド版も出ている。ドイツ版はないようだ。ましてアメリカ版(NTSC)は出ていない。こういうのを見ると、日本に入ってくる映画って、いまだに鎖国状態だな、と思う。細かく上映できるシネコンがあちこちにできたのはいいが、結局、全部のシネコンで、まったく同じ作品を同時上映しているだけ。多様性のかけらもない。

 こうなってしまうのは、シネコンをアメリカ系の映画配給会社ないしそれとつるんでいる日本の映画配給会社が経営しているからだ。単館経営であれば、館主が気に入った映画を自分で掛けることができるが、チェーン店である以上、本社から流れてくるものをただ映すだけ。独立で映画輸入を試みる小会社もあるが、映画館としては、東京くらいしか上映するところがないのが実情だ。

 それに、日本は映画が高すぎる。映画を作りもしない連中が、ものすごい組織になって、作品にぶら下がっている。テレビもそうだが、上の方にカネを吸われてしまって、現場や俳優にカネが降りてこない。かといって、映画館やテレビ局を抑えられてしまっているから、作品を自主上映する場所もない。

 ネット配信が放送かどうかもめているが、その背景にあるのが、この映画配給網やテレビ局を独占してぶら下がっている連中の思惑だ。ネット配信で映画が売れるようになれば、つまり、スペインだの、チェコだのの映画でも、別データの字幕をいっしょに売れるようになれば、映画輸入の小会社でも十分に採算が合う。だから、映画配給会社やテレビ局は、ネット配信をさせたくない。電器業界やレコード店、書店もそうだ。でも、そういう、ぶらさがり中間業者なんて、みんなもういらない時代だと思うよ。