年末年始の災害映画

きっといまごろ、日本のテレビは、どうでもいいお笑いの人々とともに、今年の流行語がどうのこうの、というような、平和ボケした、どうでもいい話題で盛り上がっていることだろう。

ドイツでは、正月過ぎまで、テレビはやたら災害映画が放送される。『タイタニック』から『ポセイドン』『ポセイドン・アドベンチャー』『タワーリング・インフェルノ』『大地震』などなど。そのほか、災害特番も少なくない。クリスマスに救世主が生まれ、それで救いのチャンスが与えられたのだから、次は、その救いの教えに従う人と従わない人を別ける最後の審判がいつあってもおかしくない、ということなのだろうか。

実際、4年前の2004年12月26日の朝、スマトラ沖地震があった。こっちではインド洋海底地震と言う。95年の阪神淡路大震災の死者が六千五百名近く。もちろんそれも大変な災害だが、スマトラ沖地震は、インド洋全体に広がったその巨大津波で、二三万人近い死者を出した。負傷者、被災者、被害面積に至っては、これまでの天災の中でもケタ違いだ。

ドイツにとって、この季節、太陽輝く東南アジアは、あこがれの観光地だ。スマトラ沖地震においても、観光客で最大の被害を受けた国はドイツで、千名以上が死亡ないし行方不明となった。そして、今日も、こっちのテレビでは、多くの人々が、波に飲み込まれ、流れに引きはがされ、生きているのか死んでいるのかわからないまま、沖へ、沖へ流されていく、あの日の映像がニュースや特番で繰り返し放送されている。こんな生々しい、生死の合間は、日本では絶対に放送されないだろう。いま生きて大声で救けを求め叫んでいた人が、だれも手をさしのべようもなく、死んでいく瞬間の映像だ。あまりに痛ましい。

国境無き医師団数万人をはじめとして、各国各組織が救援に入った。日本は800人、370百万オイロ。ドイツは、最大の補給支援艦ベルリンとともにコブレンツの国防軍緊急衛生旅団数千名が投入され、EUの500百万オイロの他に、ドイツ政府単独で500百万オイロ、ドイツ人の民間寄付で500百万オイロが送付された。国別では近隣のオーストラリアさえも越える最大規模の支援だ。

日本にしても、アメリカにしても、金融・自動車・電器のような二十世紀的産業の延命にムダ金をつぎ込むくらいなら、もっと生きたカネの使い方もあるだろうに。儲かったときは自分のふところに入れ、困ったときは政府頼みという、これらの産業の昔からの体質も、時代錯誤だ。その前の石炭や鉄鋼が無くなったって大したことはなかったように、本気でつぶす覚悟を決めれば、これらの産業が無くなったって、経済危機ということはあるまい。むしろこんな古い産業に日本経済全体が無理心中させられる方が大変だろうに。

これらの産業は、いずれ時代が変わるという危機感もなく、国際的拡大路線を採り続けてきた連中だ。延命できても、再生はしない。日本という国も、おそらくそうなのだろう。あちこちいじってみても、もはやどうにもなるまい。そして、いつか巨大災害が襲いかかり、だれも責任を取らず、すべて仕方なかったで済ますのだろう。しかし、いくら言っても、人の話など聞く耳を持たない連中だし、べつにこっちもなんの力があるわけでもないので、せいぜい自分一人、災いに巻き込まれないようにすることしかできないのだが。