欧文での書籍レイアウト

 いま、英文、というか、欧文で、本を作っている。いつものようにインデザインに直接に書き込んでいっているが、それ以前にレイアウトの勝手が違う。

 和文の場合、紙面に対して、まず字面を決める。文字の大きさを単位として、グリッドを広げていく。天と小口を決めると、地とノドは端数の残になる。

 これに対して、欧文の場合、天地と小口ノドのマージンが先だ。その結果、字面のサイズの方が端数の残になる。もちろん逆算してもいいのだが、ふつうはこの順序だ。

 そのうえ、グリッドの使い方が違ってくる。和文の場合、グリッド合わせがすべてに優先するが、欧文の場合、段落トップをインテンドにするか、段落間にシングルスペース改行を挟むか、ということになり、後者の場合、グリッドは無効にしておかなければならない。ベースライン表示で、上から適当に行幅に従って送っていき、最終行の下が残になる。左右の見開きでレイアウトを揃える必要はあまりない。

 ややこしいのが、行のハイフネーションだ。これは、和文の禁則処理に相当する。インデザインの場合、英語だけでなく、ドイツ語その他の言語の辞書も内蔵されているので、適当に正しくハイフンで分割してジャスティフィケーションしてくれるのだが、単語によっては見苦しいこともある。なにしろ、文字幅がばらばらなのだから、文字数だけでは簡単には決まらない。したがって、最終的には手作業で詰め送りを調整することになる。

 また、図枠取りもめんどい。そもそも全幅でも、サイズが端数だ。高さも、グリッドが効いていないから、上から流れ込んできている行の実際の位置を見て、回り込みを調整することになる。

 こっちの実際のレイアウトを見ると、雑誌なんか、ジャスティフィケーションもハイフネーションも放棄して、右側をガタガタのままほったらかしている組み方も珍しくない。ひとことで言えば、右になびく旗があちこちに散乱している感じ。しかし、この方が、詰めをいじっていないので、字面は意外にきれいにすっきりと見える。つまり、どの部分も、ほぼ均等の濃さになる。

 実際にやってみると、四角い文字の和文(中文やハングル)と線形行の欧文といかにレイアウトの発想が違うか、に、驚かされる。まして、右から左方向へ横書きにするアラビア語ヘブライ語タイ語ヒンディー語などのアブギダ系やアブジャッド系だと、いったいどうなるのだろうか。世界全体からすれば、右から左方向の文字文化圏方が、人口比ではむしろ主流なのだ。そのうえ、いまの時代、こういうのに、欧語だのも混在するのだろうから、驚異的なことになる。だいいち、こういう国々のパソコンのコントロールはどうなっているのか。世界には知らないことがいっぱいだ。