ドイツの長い夏休み

 やっと講義が終わった。夏休みだ。毎週、専門書の1章分を書くのだから、容易なことではなかった。それも、ドイツ語でなのだから、我ながら信じられない。たぶん、かなりでたらめなドイツ語だったと思うが、外国人なのだから当たり前だ。文句は言わせん。なんにせよ、それでも学生が喜んで聞いてくれているのだからありがたいものだ。

 で、街に出た。静かだ。が、人がいない。みんなどこかへ行ってしまった。夏休みだ。

 知っての通り、連中は、5週間は休む。人気は、イタリアやトルコ、そしてスペイン。とにかく南の方に行きたがる。もっとも、海外旅行は、高いので、せいぜい1週間。もっと安く、国内の川っぺりで、ずっとキャンプをしている家族も多い。いったい何が楽しいのか。(そういうところは、やたら虫がいる。それも病原菌を持った吸血ダニだ。)

 しかし、どこかに行きたくなる気持ちもわかる。6月までの好天気とうって変わって、曇りと雨の繰り返し。中部・北部ドイツでは、からっと晴れる日はとても少ない。ドイツでも南はいいらしい。

 そこへ日本人がやってくる。が、ただでさえこの天気なのに、ドイツの夏は、ずっと日本のお盆並みの状況にある。道路は渋滞、観光地は満杯。駅も、空港も、延々と並んで待たされるのが当たり前。そのうえ、夏の暑さのせいか、故障で急な運休も多い。そもそも、コンサートその他は、オフシーズンでやっていない。なにもこんな季節にドイツに来なくても、と思うのだが、日本はこの時期しか休みがとれないのだからしかたないのもわかる。

 もちろん、この季節にしかやっていないところ、行かれないところも多い。エルツ城などが典型だ。遊園地も夏だけの楽しみ。アルプスも、夏にしか交通手段がない。秋には早くも雪が降って、道路自体が交通困難になる。が、意外にこういうところは日本人は行かないらしい。

 さて、夏休みとはいえ、今学期にやった講義録をきちんと本に整理しなければならない。これまたありがたいことに、何人もの学生から、校正や編集を手伝いたい、とのメールをいただいた。研究を学生と創り上げていく大学らしい雰囲気は、とても楽しい。