キャバレーの才人たち

 キャバレー、こちらでは、カバレーと言う。テレビで、今日は、キャバレティスト2008の授賞式をやっている。ほんとうは5月5日に行われたそうだが。とにかく、みんな芸達者だ。

 こちらのおばかテレビやコメディ映画がおもしろいのも、このカバレーの下地があるから。カバレーは、もともとフランスから入ってきたレストランショーだが、ドイツでは、伝統の吟遊詩人やジプジーの芸とジャズと融合して、独特の発達を遂げた。映画『キャバレー』に見られるように、ナチスが嫌った典型的なぐにゃぐにゃの「頽廃文化」。

 これは、イングランドやアメリカのヴォードヴィルともすこし異なる。キャバレティストは、一人で、しゃべくり芸はもちろん、歌もダンスもすべてこなす。それも、日本でよくあるお笑い芸人のおふざけ芸などではなく、もっとヴィッツ(ウィット)に溢れた、プロ水準の歌とダンスを見せる。そして、歌やダンスがジャジーであるだけでなく、しゃべりもジャジーだ。早口でまくし立てて、物真似の声色で笑わせたかと思うと、淡々と自作の詩を朗読して、世相批判をしたりする。

 ドイツ文化、というと、頭の固い、変な学者や芸術家の話ばかり日本に入ってくるが、ああいう連中は、こっちでもすごく変な連中なわけで、けっしてドイツ文化の代表などではなく、そもそも好まれても、愛されてもいない。日本に座禅や茶道だけでなく、マンガやポップミュージックがあるように、ドイツにももっと魅力的な大衆文化がある。とにかく、役所がらみの予算で、妙な学者連中や芸術家連中に文化交流を任せておくと、おたがい誤解が広がるだけだ。もっと日常の中の生の娯楽の姿を見た方が、おもしろいにきまっている。