アニメイションとアニメの違い

f:id:ProfDr_SUMIOKA:20090809003500g:image


 だれが考えたのか知らないが、アニメはすごいと思う。フル・アニメイションで動きがどうこう言ってロトを使うくらいなら、実写か、きっちりコレオグラフィを組んでCGでやればいいのに、と思う。一方、アニメは、わずか数枚の絵で、動いているかのように見せる。実写のフイルムとつきあわせてみればわかるとおり、現実は、その途中にこんな形にはなっていない。

 もっと典型的なのは、アニメの中ヌキやオバケと呼ばれる技法で、キーとキーの間をトゥィーンしない、つまり、キーからキーへ飛ばしてしまう、もしくは、入れてもまったく形にならない固まりしか描いていない、というやつだ。やってみればわかるが、へたにフルでトゥィーンをかますより、この方が動きがシャープに感じられる。手抜きである以上に刺激的だ。これを実写でやろうとしたら、かえって編集がめんどうくさい。

 アニメは手抜きだ、と批判するなら、ほんとうにフル・アニメイションだけで作品を作ってみたらいい。カット割りを考えただけでわかるが、オブジェクト(被写対象)が動いたら、すぐフレームアウトしてしまう。さもなければ、空を飛んでいるのを追っかけるロングのフォローだけだ。アップがまったく使えない。これじゃまるでズームを乱用した晩年の黒澤映画だ。

 アニメイションの絵は、そもそも情報量が少ない。そのままではアップに耐えられない。積極的に動かないオブジェクトが、完全に死んでしまう。ところがアニメはこれができる。ここで、ブレという手をつかう。目の星をウルウルさせたり、髪をゆらしたり。たったこれだけのことで、死んだ、止まった絵が、息をして、生命を得る。

 アニメとアニメイションは、原理からして別ものだと思う。もちろんアニメはしばしばアニメイションの技術も使うが、しかし、それは局所的で、基本はむしろ止め絵のカメラワークだ。そして、このアニメの基本技術があったからこそ、ゲームだの、フラッシュだの、二次元的に展開してきた。べつに、三次元のCGがえらいわけではない。それは、絵画と彫刻とが別ものであるのと同じことだ。