【想起 anamnesis】

 (『パイドン』)

 我々にとって学ぶことは想起することにほかならない。というのは、人間は質問されることによって、もしその質問が上手にさえされれば、ものごとがどうなっているかを、自分ですべて説明することができるからである。

 しかし、なにかを想起するには、それをいつか以前に知っていたのでなければならない。だから、我々の魂は、生まれる前にはイデア界にいて知識を得ていたのだが、生まれるときにそれを失ってしまい、後になって感覚を用いてこれらのものについて以前に持っていたあの知識を取り戻すのにちがいない。美とか、善とかも、実は、すべてそのような〈真実在〉が天上界に存在し、我々は、それらが前から存在し、我々のものであったことを発見し、感覚される事物をすべてこの〈真実在〉との関係において比較してみているのである。