【問答法 dialektike】

 (プラトンゴルギアス』『パイドン』『国家』等)

 問答によって、相手の魂がが自ら知恵を産むよう導く方法。

 ここにおいては、相手は、妥協せず思うままに、かつ、イエスかノーか端的に、問われたことにのみ答えることが要求される。そして、それぞれの場合に、最も確実と判断する論言ロゴスを前提にして、その前提と一致すると思われるものを真とし、一致しないと思われるものを偽とする。

 ソクラテスは、この問答を通じて、相手の不明確な点を矛盾として明らかにし、相手がより高次の明確な一般的規定を見出すよう導いた。

 プラトンによると、それは、もとにおかれていた仮設を棚上げにして、直接にその始元にさかのぼり、確実性をめざす唯一の上昇の道であり、このような方法によってこそ、模造品ではなく、本物の真実あるがままあらわに示されるのであるから、それはもろもろの学問の頂点に置かれるべきものなのである。そして、なぜこのような方法をとるかというと、〈真実在〉をはじめから直接に見ようとすると、日食を直接見ようとする人が目を痛めてしまうように、魂を痛めてしまうからであり、それゆえ、いったんは論言ロゴス のなかに逃れて、〈論言 ロゴスの中での考察 en tois logois skepsis 〉として、事物の影からそれのあずかっている真相へと迫る必要があるのである。