【魂の世話 epimeleia pysuche】

 (アリストテレス『ニコマコス倫理学』)

 魂ができるだけ善くなるように世話することこそ人間にとってもっとも大切なことであり、これは本来の〈徳アレテー〉ないし〈知ソフィア〉への世話であり、哲学の営みにほかならない。そして、このことこそが、「汝自身を知れ」というデルフォイの言葉の求めるところであり、それはまた、自己の〈無知〉を知ることなのである。

 しかし、このような発想は、[徳は知慮フロネーシス であり、説理 ロゴスであり、悪は無知にほかならない]とする《主知主義》として批判されるところとなる。また、[諸徳は、己自身を善にする配慮として一にして不可分である]という《快楽主義》ないし《功利主義》として批判されるところともなる。